高齢の方や基礎疾患をお持ちの患者さんが歯科医院を受診する際に注意していただきたいこと
高齢になるにしたがって様々な加齢変化や基礎疾患を抱える方が増えてきます。
このページでは高齢および基礎疾患をお持ちの患者さんが歯科を受診する際に注意する点などをまとめました。
骨粗鬆症
骨粗鬆症の代表的な治療薬であるビスフォスフォネート系(BP)製剤を服用している患者さんの抜歯、歯周病治療の外科手術、インプラント手術などで問題になるケースがあります。
骨の露出を伴う外科手術でビスフォスフォネート系(BP)製剤を服用している患者さんで頻度は高くありませんが、顎骨壊死、骨髄炎などを起こすがあります。
不適合義歯による傷からも発症する可能性があります。
よってこれらの薬を服用している場合は通院している歯科医院にこれらの薬を服用している旨を受診時必ずお伝えください。
フォサマック、ボナロン、アクトネル、ベネットなどが代表的なビスフォスフォネート系(BP)製剤です。
もしこれらの薬を服用しており、抜歯などの外科処置が必要となった場合術前術後にそれらの薬を休薬するなどしなくてはいけない場合があります。
決してご自分の判断で休薬したりせず事前に医師や歯科医師の指示に従うようにしましょう。
※ビスフォスフォネート製剤とは作用機序が異なる骨吸収抑制剤ランマーク(皮下注120mg)が顎骨壊死を起こす可能性があるため投与を受けている場合注意と追加されました。(H24年4月)
虚血性心疾患
虚血性心疾患とは動脈硬化の進行により血管の内側が狭窄して心筋への血流が減少し虚血状態になった状態を言います。
狭心症と心筋梗塞が代表で冠動脈が狭くなり血流が悪くなった状態を狭心症といい、冠動脈が詰まり心筋が壊死した状態を心筋梗塞といいます。
抗凝固療法や抗血小板療法を受けている場合
一般的には「血をサラサラにする薬」などと言われており抗凝固薬の代表的な薬はワーファリンです。血栓の予防として使用されており心筋梗塞、脳卒中(脳梗塞)の治療に用いられています。
抗血小板薬の代表的な薬はアスピリンで狭心症や心筋梗塞、脳卒中(脳梗塞)などに用いられています。
抜歯などの外科的治療で出血が予想される処置を行う場合、医師の指示にてこれらの薬を急薬する場合があります。
日本循環器学会のガイドラインでは「抜歯時には抗血栓薬は継続が望ましい」とあり必ずしも休薬する訳ではありません。
時々、過去にそれらの薬を休薬して外科処置を他院で受けた事がある患者さんで後自分の判断で休薬されて外科処置に挑む患者さんがおりますが、事前に歯科医師にこれらの薬を服用していることをお伝えいただき医師の指示に仰いでからにしていただきたいと思います。
もしも服用しているお薬がこれらのお薬に該当するか分からない場合はお薬手帳などをご持参ください。
口腔乾燥症について
口腔乾燥症(ドライマウス)とはなんらかの原因で唾液の分泌力が低下し口腔内が乾く症状のことです。
高齢者の口腔乾燥症は増加しており、これは全身疾患の有無、薬物(睡眠剤、抗不安剤、降圧剤など)の服用、生活習慣の問題、口腔機能の低下などとの関連が深いと考えられます。
オーラルフレイル
フレイルとは健常な状態と要介護状態の中間(虚弱)のことでオーラルフレイルとは口腔機能の低下をきたしている状態を言います。
具体的に言うと滑舌が低下してきたり食べこぼしが増えてくる、わずかにむせるなどの状態です。
オーラルフレイルは可逆的であることが特徴であり適切に対応すれば再び健康な状態に近付けることができると考えられています。
慢性肝炎
慢性肝炎とは肝炎ウイルスの持続感染により生じる慢性炎症をいい、臨床的には逸脱酵素上昇(ALT,AST30以上)が6か月以上続く病態を指します。
我が国の慢性肝炎の95%以上が肝炎ウイルスによるもので、そのうち約75%がC型肝炎ウイルス(HCV)で残り15%がB型肝炎ウイルス(HBV)の感染によるものである。
歯科治療時の注意点
肝機能障害による出血性素因がないか確認が必要です。
インターフェロン療法を受けているかの確認も必要です。
HBVやHCVキャリア患者の歯科治療の際には院内感染対策が必要となります。
診療を受ける前に慢性肝炎である旨をお伝えいただけますと十分な感染対策が出来スムーズに準備が出来ると
思います。