顎関節症
顎関節症(がくかんせつしょう)とはお口が開きにくくなったり開閉口時に音(クリック音)がなったり、顎の関節部分や周囲の筋肉(胸鎖乳突筋、咬筋、側頭筋など)に痛みや症状が出る疾患です。
顎関節症の原因としては色々な要因があり、複合しているケースもあります。
大きく口を開けた際や硬いものを噛んだ際に顎の関節などに負担が掛かり障害が出るケースや咬み合わせが影響し顎関節部に症状を発症するケースがあります。
その他には日常の習癖(TCHやかみ癖など)、スポーツ(スキューバダイビングなど)、楽器演奏(主に吹奏楽器)などが顎関節症に関与する因子となります。
歯科治療後の咬み合わせの変化や親知らずの早期接触による干渉や長い間合わない入れ歯を使用することで起こることもあります。
ストレスなど精神的因子が顎関節症に関係している場合もあります。
治療としては急性症状が強ければ対症療法にてスプリント(マウスピース)装着やマニピュレーション等を行います。
態癖があれば改善するための指導を行います。TCH(歯列接触癖)やかみ癖など
咬み合わせなどの関与が疑われるケースなどは咬合診断を行い顎関節症の原因を調べたりします。
※R6年6月1日から諸事情により顎関節症の診察は18歳以上からとさせていただいております。
顎関節症と言ってもいろいろな病態があり下記のような診断基準に分類されます。
◆顎関節症の診断基準◆
●咀嚼筋痛障害(Ⅰ型)
顎運動時,機能運動時,非機能運動時に惹起される筋に起因する疼痛障害
●顎関節痛障害(Ⅱ型)
顎運動時,機能運動時,非機能運動時に惹起される関節に起因する疼痛障害
●復位性関節円板転位(Ⅲ型)
下顎頭―円板複合体を含むバイオメカニカルな顎関節内部障害。閉口位において関節円板は下顎頭の前方に位置し,開口に伴って復位する。関節円板の内方あるいは外方転位を伴う場合がある。
円板復位に伴ってクリック音が生じることが多い。
●非復位性関節円板転位(Ⅲ型)
下顎頭―円板複合体を含むバイオメカニカルな顎関節内部障害。閉口位において関節円板は下顎頭の前方に位置し,開口時にも復位しない。関節円板の内方あるいは外方転位を伴う場合がある。
●変形性顎関節症(Ⅳ型)
下顎頭と関節結節の骨変化を伴う関節組織の破壊を特徴とする退行性関節障害
顎関節は側頭骨の下顎窩と下顎骨の下顎頭からなり関節円板は下顎頭と
下顎窩との間に介在しておりクッションの役割をしています。
<痛みの原因として主に考えられるもの>
・筋肉に由来するもの
・ストレス等の心理的要因
・噛み合わせ
・顎関節に由来するもの(関節円板の変形やずれ、下顎頭の変形など)
<顎関節症の自覚症状>
・歯軋り(歯ぎしり)
・歯のすり減り(咬耗)
・顎関節部の痛み
・口の開閉がスムーズに出来ない
・頭痛が出たり首の周囲や肩の筋肉が痛む
・耳の前方部付近の雑音等
などが主に挙げられます。
咬合診断(噛み合わせ診断)
現在どのような咬み合わせで水平面の傾きがないかなどフェイスボウトランスファーを行い模型を咬合器に装着することで正確に診断することができます。
フェイスボウトランスファーはこのように装置を固定して測定します。
模型を咬合器に付着させた状態。
咬合器に装着することで咬み合わせに問題がないか診断できます。
咬み合わせの状態が顎関節に影響していないかなども診断することもできます。
(保険外診療となります)
中心位を採得し正しく模型を咬合器に装着することにより咬み合わせや
顎関節に悪影響を及ぼす歯牙の早期接触等を調べることができます。
上記の写真は奥歯を一本抜歯した後放置した為手前側に歯が倒れ込んで
しまっています。
赤点の部位が早期接触を起こしている状態です。