少しずつ春の気配を感じる3月。
春キャベツや新玉ねぎなど、やわらかくて、みずみずしい春野菜が食卓に並び始める季節です。
こうした旬の食材を楽しむ中でも、私たちは食感やおいしさを当たり前に感じています。
では、それはいったいどのような仕組みで伝わっているのでしょうか。
噛んだときの「食感」はどこから伝わる?
温かいご飯のやわらかさ、うどんのコシ、揚げ物のサクサク感。
私たちは毎日の食事のなかで、無意識のうちにこうした「歯ごたえ」や「食感」を感じ取っています。
その繊細な感覚をキャッチしているのが「歯根膜(しこんまく)」という重要な組織です。
歯根膜は歯の根とその周りの骨の間にある厚さわずか0.3mmほどの薄い弾力のある膜で、
中には神経や血管が張り巡らされています。

噛んだときの力や硬さにとても敏感で、食べもののわずかな違いにも気づき、噛み方を自然に
調整することができます。
噛んだ瞬間の食感や弾力を感じ取り、食事を「おいしい」と感じられるのも、こうした歯根膜の
働きがあってこそなのです。
もし、歯根膜がなかったら?
歯根膜を失った場合、まず、噛みごたえや食感が伝わりにくくなり、食事のおいしさが
大きく損なわれてしまいます。
また、噛む力の微調整もできなくなるため、無意識のうちに強く噛みすぎてしまい、
歯や骨に大きな負担をかけてしまうこともあります。
さらに見逃せないのが脳への影響です。
私たちがよく噛んで食事をすると、歯根膜から脳に刺激が伝わり、脳の働きが活発になると
いわれています。

こうした刺激は、記憶力や判断力といった「認知機能」を保つうえでも重要だと考えられています。
つまり、歯根膜を失うということは食事の質だけでなく、全身の健康にまで影響を及ぼす危険性が
あるのです。
自分の歯に勝るものはナシ!
歯根膜は歯を抜いてしまうと一緒に失われてしまい、二度と元に戻ることはありません。
近年は失った歯を補う治療法が進歩していますが、どれほど精巧な人工の歯でも、歯根膜の
働きまでは再現できないのが実状です。
そのため「噛めてはいるけど、どこか違う」と感じることも少なくありません。
自分の歯で噛む感覚は何にも代えがたいものなのです。
だからこそ、今ある歯をできるだけ長く使い続けることが、食事を楽しみ、いきいきとした
毎日を送るための大切なポイントになります。

これから先もおいしく食べ続けるためにも、大切な歯を守っていきましょう。


























