吹奏楽をしていると、演奏を重ねるうちに「アゴがだるい」「口を開けるとカクカクする」
「顎が痛い」なんて感じたことはありませんか?
実はこれ、顎関節症(がくかんせつしょう)と関係していることがあります。
吹奏楽の演奏者、特に金管楽器や木管楽器を演奏する人にとって、顎関節症は意外と
身近な問題です。
管楽器(特にクラリネット、サックス、トランペット、ホルンなど)では咬筋や顎関節
への負荷が大きいことが原因と考えられます。
少し古い記事にはなりますが
中学吹奏楽部の管楽器担当 3人に1人が顎関節症 兵庫医大(神戸新聞)
2015年2月4日の神戸新聞NEXTより転載
中学生が過度に管楽器の練習をすると
顎の関節や筋肉が痛む「顎関節症」になりやすいことを兵庫医科大歯科口腔外科学講座
(兵庫県西宮市)の研究グループが、神戸市内の中学校吹奏楽部員210人を調査し
突き止めた。
管楽器演奏者の3分の1に症状があり、グループは「練習時は適度に休みを取って」
と呼び掛けている。
強く息を吹き込むため顎周辺に負担がかかることが主な原因とみられるが、管楽器演奏と
顎関節症との関連性をみる調査は進んでおらず、中学生対象の大規模調査は国内初という。
岸本裕充主任教授らの研究グループは2013~14年神戸市内で週6日練習する中学1校、
毎日練習する3校の吹奏楽部員を調査。
管楽器演奏者(184人)のうち、顎関節症は34・8%(64人)で、市民の一般的な
有症率(5~12%)を大きく上回った。
打楽器演奏者(26人)のうち、有症者はわずか1人(3・8%)だった。
管楽器演奏者は、練習時に症状が出るとの回答も42・4%(78人)あり、練習との関連が
分かった。
毎日練習するなど練習時間が長い人ほど有症率が高い傾向もあった。
練習時の顎周辺の筋肉や関節の負担を調べた結果、息を吹き込む部分が小さい金管楽器を
練習する方が、有症率が高まることも判明。
木管楽器も含め、口の周辺に楽器を固定する構え方が筋肉の負担を大きくし高い有症率に
つながっているとみられる。
兵庫医科大病院の顎関節症外来にも吹奏楽部の中学生が多く来院する。
研究グループの安田恵理子・非常勤歯科医師と、本田公亮教授は「教育関係者にも研究成果を
伝え、よりよい管楽器練習のあり方などを考えてもらい、子どもの健康維持に役立てたい」と
話している。
研究グループなどによると、全国の中学校のうち少なくとも6割以上は吹奏楽部や同好会組織が
あるとみられる。(金井恒幸)
〈顎関節症〉「あごが痛む」「口が開かない」「あごを動かすと音がする」の三つが代表的な症状。
食事の摂取が困難になり日常生活に影響が出るほどの症状に苦しむ患者もいる。
欧米では、主に成人の管楽器演奏家に有症者が多いとして注目されているという。
このどうして吹奏楽で顎に負担がかかるの?
金管楽器は、強い口の圧力と息を支える力が必要。口周りと顎の筋肉がフル稼働です。
木管楽器は、リードを噛んだり口の形(アンブシュア)をキープするため、顎の筋肉が
長時間緊張しやすいんです。
さらに、長時間の練習や本番では「噛みしめグセ」が出てしまい、顎関節に負担が
重なります。
こんな症状が出たら要注意 ⚠️
口を開け閉めするとカクカク音がする
顎やこめかみが痛い
大きく口を開けにくい
首や肩のコリがひどい
これらは顎関節症のサインかもしれません。
予防とケアのポイント
正しいアンブシュアと姿勢を意識する、無理に力を入れすぎないことが大切です。
練習時間を区切る休憩をこまめに入れて、顎をリラックスさせましょう。
演奏前後のストレッチ
首・肩・顎をやさしく回したりマッサージすると効果的。
つらいときは専門家へ
症状が強いときは、歯科や口腔外科に相談してみましょう。